海外旅行へ行く日についての喧嘩
今日の喧嘩は一段と重かった。
ことの発端は海外旅行の話になった時である。
僕は家のローンを抱えており、それが5年後には終わる予定だ。
一応貯金はあるが、もう間も無く子供が生まれることもあって現状お金に余裕があるとは言えない。
妻とは海外旅行へ連れて行く約束を兼ねてからしていた。
5年後には海外旅行へ行こうね、と僕は妻に言った。
そう普通に言ったはずだった。
妻「5年後?5年後とか決めつけないで」
と、不機嫌そうに言う妻。
決めつけるも何も、子供のことや今のお金の状況を考えるとローンが終わる5年後と言うのは妥当な数字だ。
何が気に障ったのかわからない。
妻「5年以内に行けるかもしれないじゃん!」
と、言う。
僕はハッキリ行けないと思う、と言った。
ありとあらゆる面で考えても厳しい。
現実的に考えれば、そう簡単に叶う話ではない。
妻「私が子供できた後もフルで働いて貯金すれば行けるかもしれないでしょ!!」
と、言う。
しかし待って欲しい。
そもそも子供が生まれてから3年間は専業主婦をやりたい。
そう言ったのは妻であるし、僕もそれに賛同してその予定でお金のやりくりを考えている。
それを例に挙げられても困る話だ。
妻「もしかしたら子供が流れて、まだ子供ができないかもしれない」
より悪い想像だ。
そんな不謹慎な未来を想定して、お金を計画する必要はないと僕は考えているし、そもそもそんなことになって海外旅行だあーだこーだ言っている余裕はないと思う。
妻「もともと妊娠してからも働くと言って今働けていないのだから、生まれた後も専業主婦やらないかもしれないでしょ!」
今働けていないのは想像より体調が悪かったからだ。
つまり望む望まざると関わらず、仕方なく起きてしまった事象だ。
専業主婦をやると言う希望をしていて、それでも働くと言うのは、仕方なくと言う話ではなく、本人の強い意志によるものだろう。
それとこれとは話が違う。
やむを得ない事情で計画が変わるのと、本来の計画を意志によって変えるのは全く別の話だ。
彼女が言う「行けるかもしれない」はいずれも計画が何かしらの形で大きく破綻した場合だ。
彼女はそれを「コインを投げたら表が出るとは限らない、裏が出るかもしれない」、とでも言うように話すが、聞いている僕からすれば「そもそもコインを投げなかったら表も裏も出ないでしょ」、と言う話をされているように感じる。
彼女からすれば5年以内に海外旅行に行けないことが確定することが、この上なく嫌なことだったようだ。
実際、宝くじでも当たればすぐにでも連れて行ってやれるだろう。
しかしながら可能性の低いことを無闇に期待させるのは憚られたため、僕は5年後とハッキリ口にした。
しかしながら彼女が言うように可能性が0と言う話ではない。
高い確率とは思わないが、行ける可能性がないかと言われればそれはNOだ。
深く考えず、「あー、たしかに行けるかもね」で、良かったのかもしれない。
男に限った話ではもしかしたらないのかもしれないが、理屈っぽく話して嫌がられる男はよくいる。
僕もそうだ。
しっかりと妻の気持ちを汲んだ上で返答を選べば、また違ったやりとりもあったかもしれない。